SNSを見ていた時に、ISOの設定についての話題がありました。
内容をしっかりと見たわけではないのでなんとも言えませんが、建築写真において、通常の概念とは違った考え方を持っていると思ったので今回テーマとして取り上げてみました。
結論から言えば、ぼくが建築を撮影する際は、「ISO200」でほぼ固定します。
少し写真について詳しい人なら、この設定がちょっとおかしいことに気がつくかもしれません。でも、当然ながら理由はあります。
理由は「①撮影の効率性」と「②イメージクオリティ」です。
①撮影の効率性
ぼくが使っているカメラのベースISOは100なので、セオリーではISO100で撮るべきです。
ですが、ISO200で撮影しています。
その理由はシャッタースピードを半分にできるからです。
シャッタースピードが1/100とか1/50とかであればそんなに気にしないかもしれませんが、建築で室内を撮影する際は1/6とか、暗いところでは1.6秒や8秒になったりします。
数値面では、300枚撮ったところで5分くらいの短縮にしかなりません。
ですが、2秒タイマーやブラケット、メモリーカードへの書き込み、カメラを操作して写真を確認する等、細かい時間が重なっている中の「半分」はとても大きいものです。
実際の現場においてシャッターを押してから画像が出てくるまでのアイドルタイムを短くできるというのは、感覚として大きな違いに感じます。
撮影にも「リズム」がありますし、スイスイ撮影が進むのは気持ちのいいものです。
円滑に撮影が進めば、心にゆとりが生まれる。
クリエイティブな仕事で結果を出すためには、とても重要な要素です。
②イメージクオリティ
ここで気になるのがイメージクオリティです。
ISOは上げれば上げるほどノイズが乗ります。
基本的に100から動かさないほうが良いです。
ですが、お客さまに納品する画像サイズをベースとしたときに、ISO100もISO200もそこまで大差ありません。
厳密に見ればもちろん違いはありますが、実際に画像をまじまじと拡大して見る人はいませんし、ISO100の写真と比較するわけでもないので気付けないものです。
実際に写真を見てみましょう。
いかがでしょうか。
この写真をみて、一発で違和感を感じた人はいないと思います。
結論から言えば、上の写真が「ISO200」の写真です。
クレームを言いたくなるほどのノイズが乗っているとは思いません。
参考までに、ISO100の写真はこちらです↓
違い、わかりましたでしょうか。
このように、イメージクオリティにおいてもそこまで問題ないのにもかかわらず、撮影の一部工程を半分にできるのであれば、当然そのメリットを取るべきです。
商業としての写真は、アートとして美しくきれいであることも求められますが、実際に利益を生むような経済的合理性も求められます。
経済的合理性を求めすぎることもいけないと思いますが、その辺のバランスが取れるようにサービスを提供するのもプロです。
フォトグラファーもお客さまも、どちらもWin-Winの関係でいたいですね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
今回使った写真のISO12800バージョン、せっかくなので供養したいと思います。